きれいなオタクの旋律

リョーマ!でテニスの沼に落ちし者。

「楽しむテニス」ができなくても /『真実』『夢の続き』雑感

先日、歯の定期検診で

「アララッ!!ちょっともぉ〜、ほっぺの内側に嚙みしめた跡が残ってるじゃないのよ!!もしかして、ストレスとか溜まってる?」

と、馴染みの先生に言われました。

 

「ストレス」と言われて思い当たる原因は、ひとつ。幸村精市のことを考えすぎている」からだと思うんですよね。ほんとに。あほですね、はあ。ばか。

テニスの王子様』は、基本的に情熱とハッピーと笑いを届けてくれる素敵なコンテンツです。だがしかし私の推している幸村精市というキャラクターは、そう簡単に私を幸せな萌え豚にさせてはくれない。

幸村が背負ってきた「立海三連覇」という重圧や、闘病中の彼の心情に思考を巡らせているとき・・・それはあまりにも辛くて、私は無意識に奥歯を「ギギッ…ギリッ…ギリィィ…」と強く噛み締め、頬の内側にまでしっかり歯形を残してしまったようです。だから最近あごの疲労感が抜けなかったのか・・・

 

幸村のことを考えるのは、彼のキャラクターソングを聴いているときが一番多いような気がします。

キャラソンって、だいたい3〜5分くらいの短い時間の中に、そのキャラクターの情報がみっちりギチギチに詰まってる。だから、1曲聴くだけで頭がパンクするんですよ。狂う。特に幸村のキャラソンは、中の人である永井幸子(さちん)さんが作詞されている楽曲が多い。彼女が紡ぐ言葉の数々は幸村の解像度が高すぎるので、もう幸村がクッキリハッキリ見えすぎちゃうんです……私が跡部様だったら、幸村の全身の毛穴までブチ抜いて見えてたと思う(幸村に毛穴はありません!!!!!!!!)

 

まだ幸村のキャラソンを全て聴いたわけじゃないけど、現時点で一番好きなのは1stアルバム『ラストソングス』です。全曲大好き。

この名盤について語ろうと思い、残業終わりのフニャフニャした体に鞭打ってパソコンの前に座ってるんですけど・・・よくよく考えたらここは時系列順に、最初に出たCDから語るべきかな〜と思い直しました。

 

そんなわけで今回は、1stシングル曲の『真実』と2ndシングル曲『夢の続き』について雑感をだらだら書き綴ります。

この2曲に共通するのは、「関東大会編までの幸村の心情を描いている」こと、そして「歌詞がテニスへの情熱に満ち溢れている」ことかなあと思います。

 

目次

 

『THE BEST OF RIVAL PLAYERS XIX Seiichi Yukimura』(2004年5月19日発売)

真実

真実

トラック1. 真実

トラック2. 真実 (Remix Version)

トラック3. 真実 (Original karaoke)

トラック4. VOICE MESSAGE

真実(作詞:香坂知美 作曲:吉野貴雄 編曲:水上裕規)

真実 幸村精市(永井幸子) 歌詞情報 - うたまっぷ 歌詞無料検索

幸村初のキャラクターソングCD。発売時期から考えると、闘病生活を送っていた頃の幸村をイメージした楽曲ですね・・・・・・・(涙)

この曲、最初は物悲しい雰囲気を醸し出すイントロの影響で、暗い曲かなあ……?と思っていました。だって入院中の心情をテーマにした曲だし・・・。でも、幸村の歌唱が始まり歌詞を目で追っていくうちに、だんだんとその印象が覆されていきました。

ここに今も残る 迫る想い 強さの意味を求めながら

叶えてく 君達がいる 真実(ほんとう)の勇気で

人間って、苦しい出来事があったときに、その人の本質が見えると思うんです。

入院中に医師から「テニスなんてもう無理だろう…」と告げられ、底知れぬ絶望と悲しみを経験した幸村。そんな彼の心情をテーマにした楽曲『真実』は、闘病中とは思えないほどに、激しく燃え上がるようなテニスへの「情熱」を歌っている。「絶対に病気を乗り越えて、仲間たちの元へ戻るんだ!」という、並々ならぬ思いが伝わってくる(泣)。

どんなに困難な状況でも「決して諦めない心」が、幸村の強さの源だと思うのです。

諦めなければ「立海三連覇」という夢を掴み取れると信じて、苦しいリハビリを乗り越えた幸村の強さ。そして、幸村の復帰を信じ、コートで戦い続けた仲間たちの心の強さ。立海メンバーの存在が、どれだけ幸村を勇気づけたことか……。あああああだめだこれ泣く。無理。

 

真実 (Remix Version) REMIX:kors k

『真実』を聴いてしんみりした後にいきなり「プイプイッ! プイプ プイプイッ!」という愉快なEDMモルカー(モルカーミリしら)みたいな音から始まるリミックス。正直私のテンションがついていかなかったです……(笑) 歌詞の内容さえ考えなければ、普通にアガるMIXだと思います。(リミックス担当のkors kさんは、音ゲー界隈では有名な方らしい)

 

『夢の続き』(2006年8月30日発売)

夢の続き

夢の続き

トラック1. 夢の続き

トラック2. 夢の続き (Original karaoke)

トラック3. トークタイム~Vol.34 P180~

夢の続き(作詞:永井幸子 作曲:不動景太 編曲:牧野信博)

幸村精市(永井幸子) 夢の続き 歌詞 - 歌ネット

さちんさんがテニプリで初めて作詞した記念すべきキャラクターソング。ジャケットのイラストが「ザ・アー写」という感じでオタク心が燃えたぎりますね。

このCDの発売時期は、アニメ全国大会編(OVA)で比嘉中が出てきたあたり。なので『夢の続き』は、手術が成功した後の、リハビリ生活を送る幸村の心情をテーマにしたものだと思っています。

この曲も『真実』と同じく、テニスへのほとばしる情熱を歌っているのですが、前作よりも時が進んだことにより、全国三連覇という「夢」との距離がぐっと近づいています。

季節は巡り 約束の朝に出会う 始まりはここから

燃える想いを 一度捨てて

アニメと原作の最終話の違い

「燃える想いを 一度捨てて」生まれ変わった幸村精市は、以前にも増して「勝利にこだわるテニス」をするようになります。しかし全国大会の決勝、幸村は「心から純粋にテニスを楽しんだ」越前リョーマに敗北する。

全国大会編OVA最終話の幸村って、試合後にリョーマと握手を交わしながら「機会があればまた対戦しよう。そうだな、今度は楽しむテニスで」と、穏やかな表情で言うんですよ。

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出典:M.S.C(2009年)『テニスの王子様OVA 全国大会編 Final 』Episode 26 

このシーンを最初に観たとき、正直あまり納得できなかったというか・・・。もちろんリョーマとの試合を経て、幸村が前向きな気持ちになれたのは素晴らしい事だと思う。それこそ私だって、ハッピーエンドを迎えた最終話を観ているときは、エンディング曲の『Dear Prince〜テニスの王子様達へ〜』を聴きながら号泣してたもん。

でもその一方で、めんどくさいオタク心が「いやいや、ここまでの困難を乗り越えてコートに復帰した人間が、リョーマとの試合を経験しただけで憑き物が落ちたように微笑み返すことができるのか?」と思ってしまったんですよ。本当に嫌~なオタクですね。「リョーマの『天衣無縫の極み』はプリキュアの必殺技のように、(半ば強制的に)相手の心を癒す力があるのかもしれない…」などと考えたりもしましたが、やはりどうにも納得できなかった。

 

で、後日原作の最終巻を読んでみたら、アニメ版とラストの描き方が違っていたのでビックリ。

なんと原作の幸村は、試合後に言葉を発するシーンがひとつも無いのです。というか原作の最終話で一言もセリフが無い。そんなラスボスいるのか。

そして試合後の幸村が描かれたのは、たった1コマ。悔しそうにも見えるキリッっとした表情で、リョーマに手を差し出す姿だけ。

しかしこの貴重な1コマ、幸村のセリフは無いけれど、『Dear Prince〜テニスの王子様達へ〜(作詞:許斐先生)』の歌詞がまるで許斐先生から幸村に向けられたエールのように感じられるのです。読んで↓

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出典:許斐剛(2008)『テニスの王子様』42巻

原作最終話はアニメと比べると幸村の描き方がアッサリしていますが、私はこのラストシーンがもの凄く好きです。「次は絶対に負けない!」というアツい気持ちが伝わってくるこの表情、最高すぎる。

そして何よりも良かったのが、アニメ版の「今度は楽しむテニスで」というセリフが無いことにより、幸村の「徹底して勝利にこだわる」という強い信念が揺らがなかったようにも受け取れたことです(とはいえアニメ版の穏やかな終わり方も好きですが)。

敵キャラクターとしての「幸村精市

私、プリキュアにおける「改心しない」タイプの敵キャラが大好きなんです。だって、簡単にスパっとこれまでの信念を捨てて良い人になっちゃう悪役なんて、ちょっと怖いじゃないですか。「えっ本当に改心しちゃったの!?」って思っちゃう。

プリキュアにおける「改心しない」タイプの敵キャラは、そのまま消滅してしまう場合もあれば、一方ではその後プリキュアたちと同じ社会に包摂されて、自分なりのやり方で(完全に改心はせずに)新たな人生のスタートを切る場合もある。『テニスの王子様』(原作)のラストシーンにおける敵キャラクターとしての幸村は、後者の存在だと思うんですよ(※これはオタクの妄言です)。

だから私、アニメ版の「今度は楽しむテニスで」というセリフに関しては、「楽しむ=幸村の勝利」という彼なりの皮肉みたいに受け取るようになりました。うわ〜、ほんと嫌なオタクですね。

 

今後の幸村は、どんなテニスをしていくんだろう・・・。これまで通り勝利にこだわるテニスでも、そうじゃなくても、幸村なりのやり方でテニスを愛してほしいなあ。人にはヒトの天衣無縫。よそはよそ、うちはうち。これからも幸村には幸村らしく、マイペースに、自分らしいスタイルで戦っていてほしいなあと思うのです。越前リョーマのように「楽しむテニス」ができなくても、それはそれでいいんじゃないかなあ。許斐先生はどうお考えなんだろう……。

新テニに関してはまだアニメしか履修できていないので、年末年始の休暇中に原作をイッキ読みしようと思っています。楽しみだ~。

 

うわ~なんだか長くなってしまった。幸村のプレイスタイルについてはもうちょっと考えたかったけど、もう眠くて頭がまわらない。それにもう夜中の3時過ぎてる・・・。

 

 

余談

自宅に飾っていたら「APA…? アパホテルの人?」と言われた幸村。

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こちらを睨んでいる。